TAP Gallery Lecture Series #003|ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』をよむ

写真表現についても造詣の深いヘーゲル研究者の木本周平さんをお招きし、ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』についてのレクチャーを開催いたします。今回は、言語哲学分析哲学の歴史的な流れにおけるグッドマン思想の位置付けなども紹介しながら、彼の“世界制作論”を芸術生産のための思想・指標・補助線として、誰もが活用できるよう、その理解を促します。ちくま文庫から刊行されているネルソン・グッドマン『世界制作の方法』をすでにお読みの方も、未読の方も、ふるってご参加いただければと思います。また、今回の続編として、慶應義塾大学出版会から刊行予定のネルソン・グッドマン『芸術の言語』についてのレクチャーも予定しています。


[日時]2015年9月11日(金)20:00〜22:00
[講師]木本周平(ヘーゲル研究・様相の論理学史・形而上学史)
[会場]TAP Gallery http://tapgallery.jp/ 〒135-0022 東京都江東区三好3-2-8
[地図]http://tapgallery.jp/map.html
[参加費] 300円
[定員]15名(予約制)
[予約方法]参加をご希望される方は、メールの件名を「ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』をよむ」とし、お名前/メールアドレス/ご予約人数を明記したメールを fknb291@gmail.com までお送りください。返信の空メールが届いたらご予約完了となります。担当:福居伸宏(TAP Gallery運営メンバー・291 workshop主宰)*1




筑摩書房 世界制作の方法 / ネルソン・グッドマン 著, 菅野 盾樹 著

グッドマン,ネルソン
1906−1998年。アメリカの哲学者。ハーヴァード大学で博士号を取得。各地の大学で哲学を教え、没するまでハーヴァード大学哲学名誉教授。分析哲学を継承しつつも、その域を超えて藝術や形而上学の諸問題についてきわめて犀利で体系的な考察を展開。

この本について
本書が刊行されるや、アメリカ哲学会に大きな反響を惹き起こし、度重なるシンポジウムが開催されたアメリカ現代哲学の最重要著作。世界制作論とは、グッドマン独自の唯名論的論理を基礎とした、もろもろの哲学に関する哲学、メタ哲学、哲学とはいえない哲学、という逆説である。そこでは、藝術、科学、知覚、生活世界など、幅広い分野を考察し、思索の徹底性を示す。「われわれはヴァージョンを作ることによって世界を作る」。この洞察によって、言語中心主義に陥っている現代哲学の超克を目指し、人間の記号機能の発露としてのさまざまな世界を、平易な文体によって等しく考察する創造的試み。


目次
第1章 言葉、作品、世界
第2章 様式の地位
第3章 引用にかんするいくつかの問題
第4章 いつ藝術なのか
第5章 知覚にかんするある当惑
第6章 事実の作製
第7章 レンダリングの正しさについて

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480091253/

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◇ 世界制作の方法 (ちくま学芸文庫) | ネルソン グッドマン, Nelson Goodman, 菅野 盾樹 | 本 | Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/dp/4480091254

http://ecx.images-amazon.com/images/I/41pU-PRp2tL._SX298_BO1,204,203,200_.jpg

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◇ ネルソン・グッドマン - Wikipedia

ネルソン・グッドマン(Nelson Goodman、1906年8月7日 - 1998年11月25日)はアメリカの哲学者。認識論、言語哲学、美学などで業績を残した。1951年の著書「The Structure of Appearance」では師のC.I.ルイスから継承した議論を展開し、そのなかでクオリアに関する研究の先鞭をつけたことでも知られる[1]。

1928年にハーバード大学を卒業。カルナップやクオリアの概念を提出したことでも知られるクラレンス・アーヴィング・ルイスに影響を受ける。ボストンで画廊を経営しつつハーバードの大学院で学び、1941年に学位取得。第二次世界大戦時に従軍した。
戦後、1946年から1964年にかけてペンシルベニア大学で教える。このときの生徒には、ノーム・チョムスキーやのち政治哲学者となるシドニー・モルゲンベッサー(Sidney Morgenbesser)やヒラリー・パトナムがいた。「哲学学部」としての縛りを嫌い、ハーバード大学の認知研究所(the Harvard Center for Cognitive Studies)の研究員となり、のちいくつかの大学を転々とし、1968年よりハーバード大学で教鞭をとった。

世界制作論
1975年の『世界制作の方法』において、グッドマンは「人間はヴァージョンを制作することによって世界を制作する」という主張を行った。「ヴァージョン」とは記号システムのことである。例えば、日常的知覚、言語的表現、絵画作品、音楽、表情、身振りなどはいずれも「記号システム」であるが、世界制作とのかかわりで認識論的に重要なのは当然ながら「科学理論」にほかならない。
世界制作論のいくつかの重要な含意のうち最も問題をかもすのは、その複数主義であろう。すなわち、論理的に両立し得ないが「正しい」複数のヴァージョンがありうる、という主張である。それゆえ世界は数的に複数存在することになる。これをどのように解釈すべきだろうか。
彼のこの見地は一種の構成主義であるが、ヴァージョンの背後に何かしら実在する世界なるものを認めるわけではない。この意味で世界制作論はある種の反実在論、いや非実在論(irrealisim)を主張している。この思想は古代東アジアに発祥したブッディズムとりわけ「唯識論」に酷似する点に注意が必要かもしれない。
「緑」と「グルー」のどちらを選ぶかという選択に見られるように、われわれがどういう述語を使って世界を切り分けるかで、世界を構成する基本的なカテゴリー、すなわち世界の存在論は全く変わってくる。同等に「正しい」複数の存在論が存立する結果になる。しかしグッドマンはカント的な「物自体」を是認しない。グッドマンのこうした考え方はヒラリー・パトナムに影響を与え、パトナムが内的実在論を展開する一つの起因となった。


藝術の記号主義的解釈
グッドマンはまた美学の分野において藝術を科学と同等の認識論的機能を有する「もうひとつのヴァージョン」のあり方として重要視している。彼によれば、藝術は科学と遜色のない認識価値を有するのである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3

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◇ ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』(ちくま学芸文庫) - Übungsplatz〔練習場〕

◇ Goodman, Nelson 『世界制作の方法』 - arsvi.com:GCOE 生存学創成拠点
http://www.arsvi.com/b1900/7800gn.htm
http://www.arsvi.com/


◇ ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』(菅野盾樹訳 2008 ちくま学芸文庫)感想 - ページからページへ
http://blog.livedoor.jp/tristanetsamuel/archives/51047005.html


◇ 世界制作の方法 ネルソン・グッドマン - 反批評的考察 β
http://d.hatena.ne.jp/TaniR/20090512/1242077075


◇ グッドマンの美学 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
http://www.at-akada.org/blog/2007/05/post_190.html


◇ グッドマン『世界制作の方法』 - logical cypher scape
http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20080214/1202990846


◇ 『世界制作の方法』、あるいは根源的相対主義とヴァージョンの正しさ | Theoretical Sociology
http://sociology.jugem.jp/?eid=207


◇ 「グッドマン」の検索結果 - 呂律 / a mode distinction
http://d.hatena.ne.jp/contractio/searchdiary?word=%A5%B0%A5%C3%A5%C9%A5%DE%A5%F3&.submit=
id:contractioさんのはてなダイアリー(旧・日曜社会学)よりネルソン・グッドマン関連。


◇ 立ち読み『概念分析の社会学 : 社会的経験と人間の科学』ナビゲーション - 日曜社会学エスノメソドロジー番外地
http://socio-logic.jp/ethnomethodology2_navi.php


◇ グッドマンを偲んで - シンボルの海
http://www33.ocn.ne.jp/~homosignificans/symbolnoumi/content/goodman/goodman.html
http://www33.ocn.ne.jp/~homosignificans/

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090706p4

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◇ tabula rasa: ヴェネツィアビエンナーレ 2009

今年のビエンナーレの総合デレクターは,1963年、スウェーデン生まれのダニエル・バーンバウム(Daniel Birnbaum)。現在、フランクフルト市立美術大学学長でありながら、キュレーターとして現在、世界中で活躍する彼は、博士の学位をもつ哲学者でもあります。「世界をつくる(Fare mondi / Making worlds)」という今年のビエンナーレのテーマを掲げるにあたり、バーンバウム自身は、マルティン・ハイデッガー(Martin Heidegger)、ジル・ドゥルーズ(Gills Deleuze)の思想、そして特に認識論、言語哲学、美学を専門とするアメリカの哲学者ネルソン・グッドマン(Nelson Goodman,1906−1998)の著作『Ways of worldmaking』(日本語訳:『世界制作の方法』、みすず書房ちくま文庫)からインスピレーションを得たことを語っており、今日は、バーンバウムのインタビュー、グッドマンの思想の解読を元に今年のヴェネツィアビエンナーレのこのテーマを紐解いていきたいと思います。

バーンバウムは、このビエンナーレにおいてこの理論における論理的解説を回避したとはいえ、本人の言葉にもあるようにグッドマンからの思想からの着想は明白であり、今回のビエンナーレでは、バーンバウムは、哲学者としてグッドマンの理論を論証したのではなく、キュレターとして“実践”したといえる。それでは、グッドマンが主張するその“世界制作論”とはどんな方法論なのであろうか?
それは、グッドマン曰く「人間がヴァージョン(記号システム)を制作することによって世界を制作する」方法であり、この論理の特徴として挙げられるのが、“科学と芸術の等質性”“論理的には両立することはないが、複数の世界を存在させる正しい複数のバージョンが存在する”という主張である。
グッドマンは、“科学における推論”を例に上げこの理論を次のように説いていく。科学は世界における真実を記述していくものだととらえられており、複数の理論を正しいものとそうではないものに判別してしまうことはきわめておかしなことである。例えば、地球は自転するか、またはしないかという2つの仮説があった場合、これらの2つの理論は、一様に正しい。一方が正しく、他方が間違っているとは言えない。2つの理論には“それをどう記述するか”の違いがあるのみである。全て正しいとされるこれらの記述が存在する時、世界がつくられ存在するのであるならば、それ以外の記述は存在しないのだろうか? つまり、世界を存在させるのは複数のバージョンもしくは記述であり、複数の記号システムが複数の世界を構成していく。そして、これらのバージョンを創造するには複数の方法があるというわけだ。地球が自転するか、しないかはそれをどのように記述するかによる。また、別の例をとれば、自然から星が創造されたわけだが、“星座”は、そうではない。星座は、天体システムの内部における星の選択により生まれ、名前が与えられたものである。この唯識論的な認識への価値をグッドマンは科学と芸術の分野において“複数の世界を存在させる”という主張の基に両者の等質性を見出していくのであるが、次の言葉は彼の芸術への考察を明確に示していると同時に“科学”にも置き換えられる。

http://tabularasa-milano.blogspot.jp/2009/08/2009.html






*1:場合により、メール未着のこともあるかもしれませんので、こちらからのご返信に時間がかかっているようでしたら、
  本ブログのコメント欄から直接その旨をお伝えいただければ幸いです。